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Ⅰ.

齋藤 千明「Drums」×「萬穣 三日踊」純米吟醸

◇斎藤 千明「Drums」

シリーズ「言祝ぎに音」主に栃木県烏山産の和紙を使用した作品。円筒状の版画作品で、太鼓として音を奏でることもできる。

◇中谷酒造「萬穣 三日踊」純米吟醸

「三段仕込み」の一段目「添(そえ)」と二段目「仲(なか)」の間の、何も手をかけず、酵母菌の増殖を促す「踊(おどり)」と呼ばれる工程を、通常一日間のところ二日ないし三日とし、力強い発酵を実現。味と香りに幅が広がり、米の旨味の余韻が残る。

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ぽこぽこと奏でられる生命の息づき

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太古の昔から、ぽこぽこと胸の太鼓を鳴らすように奏でられてきたDrumsの響き、余韻。

ゆっくりと産み出される酵母の泡がぽこぽこと息づき、米の余韻の響く酒に繋ぐ。

Ⅱ.

伊丹 弥生 ×「金寶 自然酒」生酛純米吟醸

◇「金寶 自然酒」生酛純米吟醸

自然米(農薬・化学肥料を一切使わず栽培した酒米)を使った、自然派生酛酒母仕込みの純米吟醸。独特の四段仕込みで醸し熟成させた、自然のままの琥珀色をしたお酒。

米本来の旨味と柔らかな甘味、生酛酒母仕込みの酸味が調和したコクのある味わい。

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目には見えない、形あるもの

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木のパネルにニスを塗布した素朴な生成色が、自然酒の自然のままの風合いを想起する。

自然の働きに委ねる原料と製法で自然のままの朴訥とした顔の奥に、米の旨味や甘味、乳酸の酸味が複雑な味わいを抱え、見る人にそれぞれの印象を橋渡す。

「日本の田んぼを守る酒蔵になる」を目標に「2025年までに田村町金沢の田60町歩を全て自然田にする」べく邁進する酒蔵。人と自然を相手にした壮大な夢を呑む。

Ⅲ.

Kio Griffith「目詩録」× 吉田蔵「u」

◇Kio Griffith「目詩録」

廃棄処分される古本に作者独特の文字や言葉の遊びを加え、「捨てられる本に、息を吹き込む」作業で生まれた作品。

◇吉田蔵「U」山廃純米

白ワインのような日本酒。uは漢字で優しいの「優」。自然界に生存する乳酸菌の力を借りて造ったアルコール度数13%の優しい純米原酒。梨のような優しい甘み、ライムを搾ったようなフレッシュな酸味が特徴。

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ファーストインパクトと再構築

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古書から本らしからぬ要素(内包的で通常は目に触れない要素)を抽出して本らしい要素(表面的で感受しやすい要素)と共に再構築する行程から、日本酒の構成要素から日本酒以外の酒を想起させるイメージの再構築を結びつける。山廃という日本酒の伝統的な製法で仕込みつつも白ワイン様という新しい世界観を構築する試み。

作品を目にした瞬間の「言葉」の持つ直接的なインパクトは、ファーストアタックの微かにしゅわっとした刺激のように感覚に映える。

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