

Ⅲ.
「森羅万象」×「雨降」山廃仕込 雄町
◇吉川酒造「雨降」山廃仕込 雄町
********
縄文
地層 木幹 ミクロの世界で遊離状態を保つ繊維 自然界の濾過装置
濾過 目指すは いにしえから未来まで永続的に変わらない最小単位
今という時間から切り離し、遠ざける - repel
********
古来より雨乞い信仰の場として知られている雨降山(あふりやま)。その慈雨が長い年月をかけて地層を流れ降りてきた、日本では希少な高度150の硬水と、精米歩合90%という高い割合で削った日本古来の原生種「雄町」を、伝統的な山廃仕込で醸した酒。
雄町は、1859年(安政6年)に備前国で一人の農家が伯耆大山参拝の帰路に偶然発見した原生種。その栽培の難しさから一時は絶滅寸前となり「幻の酒米」とも呼ばれたが、多くの酒蔵や愛好家の熱烈な支持を受け100年以上途切れることなく使い続けられている唯一の品種。
硬いながらもしっとりとした口当たりで、バナナのような馥郁さ。
味わいも澄んだバナナジュースのようにさらっとした旨味と甘味で、後からカカオのような苦甘がほんのりじんわり。
Ⅳ.
「記憶の迷宮」×「竹葉」能登純米
◇数馬酒造「竹葉」能登純米
********
葉脈
光が注ぐ 育まれる緑 喰む青虫
光が注ぐ限り
生まれ続ける 有機物を運ぶ
葉脈の筋路
********
明治2年創業。能登産100%の酒米と、能登半島の内陸部の山間の湧き水、硬度0.6(ドイツ式硬度)と全国トップレベルの軟水で醸した能登テロワール。
柑橘のような酸味と香草のような苦味。
陽の光を浴びて光合成する緑のような爽やかさと穏やかなコク。
植物の葉脈や青虫の体内のような有機的な通路をイメージ。作品中には無いはずのライムグリーンを想起。
柑橘や香草や甘くないライムのように、突き抜けるように軽やかで、かつ穏やかなコクを併せ持つバランスの良い食中酒。
光合成によって美しい大気が再生するように、能登の復興も祈願して。