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“くゆる”

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くすぶり立つような匂い

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ACIDな攻撃性と
SWEETな蠱惑を
外界と隔てる 薄皮は苦く

ひとたび触れられれば
肌膚は柔らかいのだが

「匂う蓮(二階展示作品)」×「辰泉」 特別純米 夢の香

明治十年(1877年)創業。磐梯山麓および飯豊山麓の自然湧水を仕込み水とし、地元農業者と共に育てた酒米で「手と目の届く範囲で手造りの良さを生かした」酒造りに取り組む酒蔵。
「辰泉」特別純米 夢の香は、福島県の酒造好適米「夢の香」を100%使用し、福島で開発された酵母「うつくしま夢酵母(F7-01)」で醸した福島テロワールの地酒。中辛口の純米酒。
香りはリンゴのように瑞々しく、口にすると柑橘のような酸味苦味、そして甘味、すぐ後からふわっと障子紙のようなスモーキーな風味が包み込む。

 

【PAIRING COMMENT】黒の中に浮かび上がる、少しの鋭角性を含みつつ誘うような視線に、柑橘の皮のような苦味と、その奥の果肉の甘酸っぱさを重ねました。また、手漉き和紙の匂いのようなノスタルジックな旨味の風味に、作品が撮影され、展示されている、それぞれの場所を想起させるような匂いを重ねました。

“しとむ”

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浸み込むような匂い

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肉体は浮世と擦れ合い 世界を再構成する

醸し出される滋味は沈潜し
産み落とされた気泡は上昇​

品格が浮遊する

「匂う蓮(一階展示作品)」×「醴泉」 純米吟醸 雄山錦

文化三年(1806年)創業。「大吟醸」から「本醸造」まで、それぞれの製法ごとに最高品質を追及し、理想の「品格ある酒」を目指す。
「醴泉」純米吟醸 雄山錦は、雄山錦の独特の味わいを豊かに醸した吟醸酒。麹の漬物のような、果実ならバナナのような、複雑にして馥郁とした香り。
ふくよかな米の旨味はほのかなロースト感もあり、麹や醪など発酵を想わせる風味。

【PAIRING COMMENT】この世界の有機物は微生物によって分解され、匂いを放ち、この世界に再度組み込まれていく。発酵する世界の一員に在る人間の肉体。日本酒が生成される過程の、発酵を直接的に連想させるような風味が、世界と擦れ合い発酵する肉体のイメージと重なりました。また、この地の、人も文化も多様な存在を受け入れつつ資本の櫂で社会のレイヤーに漕ぎ分けられる中、最も揺るぎない尊厳が底から上澄みに浮遊するような「浮遊する品格」のイメージを蔵のコンセプトと重ね合わせました。

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